米子沢060924
[ 執筆 :
サンカル居候さん
]
[ 撮影 : キャリーさん ]
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登川米子沢 ( 巻機山 ) 遡行記録
【 山域 】
巻機山 .
【 時期 】
2006 年 9 月 23 日 ( 土 ) ~ 24 日 ( 日 ).
【 メンバー 】
キャリーさん ( SL ), 元釣り師 さん , トムロさん , 水仙月さん ,
サンカル居候 ( CL ,記録 ).
【 記録と感想 】
以前から , 行ってみたい山と沢が有った . 晴れた日の巻機山と , その懐を流れ下る
米子沢である . 大型台風が太平洋を北上しつつあったので , 天気の崩れが心配だった
が , 前日の午後 2 時半頃 , 山の会事務所を出発した . 2 台の暴走志向車に分乗し ,
関越自動車道経由で一路 , 巻機山麓の桜坂駐車場に飛ぶ…飛ぶように向かったが ,
着いた頃には , すっかり日が暮れていた .
駐車場には既に , 数台の車が停まっており , 明日の山行の準備や寝支度をしていた .
我々も早速 , 2 台の車で隠すように , テントを設営 . 明日遡行する米子沢の右岸のすぐ
脇だ . 伏流となっているので , 水音はまったくしない .
その夜は , 毒薬の日本酒原酒で約 2 名 , すっかり酔いが回り , まったくもって楽しい
宴であった . 会社には , こんな楽しい雰囲気は無い . そう言えば , 関越トンネルを抜けると
天気は好転 , 快晴の夕暮れだったが , その夜も快晴が続いていた . 夜空は , 満天の
星空で , 天の川が天上を 2 分していた . こんな素晴らしい星空も , なかなか味わえない
天然プラネタリウムに満足して寝る .
沢登りの前に , すっかり楽しんだ感じだ .
明朝 4 時起床 .
支度をしているうちに , 夜が明けてく
る .
やった!天気は晴れだ .
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米子沢最下流部に据えられている幾つ
かの堰堤を巻くべく , 左岸の工事用
道路から入る .
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4 つめの堰堤のすぐ上から , 沢床に
下り立つが , 岩がゴロゴロしている乾い
た川原が延々と続く .
勾配は意外と急で , 標高差 1,400 m
が予感できる .
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約 30 分後 , ようやくせせらぎの音が聞こえてきた , と思ったらいきなり , 水量豊富な
ナメ滝が現れる . .
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今まで , 転がっている岩しか見てい
ないので , 威圧感いっぱいだ
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水流の右側を攀じ登った後は ,
ナメの連続 . 続いて登場する ,
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小規模なゴルジュの奥に構える40 m滝
は , 右岸の巻き道を利用して越える .
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この後も , ナメとナメ滝が交互に連続する
が , 何れの滝も直登可能だ .
1 箇所 ,わずかにかぶり気味の滝では ,
念のためロープを出した .
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左岸から支流が合流すると , 米子沢ゴルジュの始まりである . ゴルジュ入り口の滝を , 右壁
から登ると , 目の前に , 明瞭な踏み跡が有る . このゴルジュの入り口部分を巻くためのもの
か?ゴルジュのへつりは容易ではなさそうに見えたので , 迷わず? この巻き道に突入した
のだが , これが唯一の後悔であった .
踏み跡はどんどん高度を上げ , 沢から離れてゆく . 怪しいと思って , 枝道に入ったが ,
ゴルジュの断崖絶壁の上で行き止まり . ロープの長さが足りず , 懸垂下降も不可能 . 文献に
「左岸の明瞭な踏み跡に入らないように」という記載が有ったのを思い出した .
これがそうか… .
仕方なく引き返すが , 途中で , 沢の間際まで木が生えている斜面を見付けた . 木や熊笹
を頼りに , 急斜面を下降し , 最後は潅木にぶら下がるようにして , 見事 , 沢床に着地
成功 . 先ほどのゴルジュ入り口の少し上流の地点だった . 後続のパーティが , 難なくゴルジュを
へつっているのが見え , 大変損した気分だ .
今度はあくまでゴルジュ通しに進み ,
ゴルジュにはめ込まれた 15 m くらい
の滝で , 後続パーティをやり過ごした .
別のパーティが滝を登っているのを見る
と , 妙な緊張感が生じる . 見られてい
る方も緊張している?に違いない .
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やがて , 溝状の 10 m 滝が現れる . ここは瀑心を突っ張りで越えよう…と思ったが , 皆さ
ん , 左岸から簡単に越えていたので , それに従がった . ゴルジュは , この滝まで . ゴルジュの
取り付き部分を巻いたことが , 再び悔やまれる .
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この滝の上からは , さらに壮大なナメとナメ
滝が , はるか奥まで延びる . 文献に記
載されている「大ナメ」だ .
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ナメと言っても , 滝と区別が付かないく
らいの傾斜だ . 所々に現れる立派な
ナメ滝がアクセントとなっている .
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「大ナメ」を , 慎重に足を置きながら登って
行く . しかし , 岩盤の沢幅はいつまでも
広い .
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いつの間にかガスってきて , 辺りが
乳白色に包まれている .
またしても晴天の巻機山は断念か… .
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5 m ほどの滝を越えると , 急に勾配が無
くなり , 沢幅が狭まった .
しばらくして , 二股に到達 . 右が巻機山
山頂部に突き上げる沢 , 左が避難小屋
の水場の沢である . この頃からガスが切
れ始め , 右沢が山頂部に消えて行くの
が見える .
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当然 , 右沢に突入 , と行きたいところ
だが , 立ち入り禁止 . 山頂部の草原
保護のためらしい .
わずかな葛藤の後 , 素直?に左沢へ
入る .
我々の地球にやさしい選択が評価
されてか , 天気が良くなって来た .
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二股から 20 分足らずで , 避難小屋に到着 . さっさと靴を履き替え , 晴れているうちに ,
巻機山山頂へ Go .
15 分程で , 頂上 ( 御機屋 ) に駆け登る . 山頂部は登山客が多かったが , 広大な稜線の
ため , 少しも窮屈な感じがしない .
それより , 眺めが素晴らしいではないか . 過去の 2 回の登山では , 何れも雨の中だった
ので , 初めて拝む景色である . 稜線上を , 最高標高点 , さらには朝日岳分岐付近まで ,
草原の中の木道を進む . 牛ガ岳から派生する緑の稜線 ( 丹後山方面 ) や奥利根湖 ( 矢
木沢ダム ) が印象的で , 吸い込まれそうである . すぐにでも行けそうな気がする .
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避難小屋からポツポツ , 人が登って来る
のが見える . さっきの右沢が , 自分の足
元まで延びているのが見える . 白いのは
雪渓だ .
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さて , ずっとここに居たいが , 山頂を
後にすることにしよう .
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巻機山避難小屋 ( 九合目 ) は , 近年
建て替えられた立派な小屋だ .
住み込めば , 快適な生活が送れそう
だ…と思いつつ , 重い腰を上げる .
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ニセ巻機山 ( 八合目 ) までの登り返しが
堪えるが , 後は下り一辺倒 .
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右手に , 山頂部の穏やかさとは対照的な , 険しい天狗尾根を視界に入れながら ,
ほとんど一気に駆け下った .
避難小屋から登山口の桜坂駐車場まで 3 時間の標準のところを ,
1 時間 20 分で走?破 . 速い♪でも , それがどうした .
駐車場に着いて , 再び , 米子沢を見上げる . 良い沢であった . 事故も無く , 楽しい山旅
であった . そして何よりも , 巻機山山頂からの景色が素晴らしかった . 悲願達成!
新潟の地酒を買い込み , 関越自動
車道を走行中 ,
「来年もまた来ようかな…」
などと思い巡らしているのであった .
皆さん , お疲れ様でした .
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