27.早春の向山           1160.3m


期間:2002・4・6   天候:晴れ  単独行  地図:荒海山
コースタイム向山:不動ノ滝8:30−1042mピーク9:00−9:10−向山頂9:50−10:10―不動ノ滝11:00
田代山   林道終点:12:00−田代山頂12:55−13:15−林道終点14:00


山行記録:先週登った三依山よりさらに北、横川集落の南、男鹿川の対岸に頭を持ち上げているのが向山である。私が会津方面にスキーや登山を楽しんだ帰り道、山王峠のトンネルを抜け出ると、目の前に聳えている山、それが向山であった。
五十里湖畔を走り抜け、不動ノ滝ドライブインの先、男鹿川にかかる橋の手前左岸の林道入り口に駐車した。
早速、河原に沿った林道を辿ったが、これは直ぐに終わってしまった。踏み跡はさらに伸びていたが、それはどうやらドライブインの給水口への点検路のようであった。ここより東に連なる、向山の南端のピークを目指した。斜面には残雪が消えたばかりで、一面黒々とした無毛地帯の草木の芽吹き前で、どこを登ろうが自由気ままであった。
こんな日は誰一人登ってくるわけがなく、藪もない斜面を、黙々と稜線を見上げつつ登って行った。背後の男鹿川の水音はだんだんと小さくなり、やがて30分後、1042mピークに到着し休憩とした。
向山の三角点ピークは、この稜線を北へ辿って、さらに一旦下って登り返した最北端のピークであった。意外にもここの稜線には、しっかりした踏み跡が続いて、快晴の今日は見通しも良く、迷う心配は全然ないだろうと思えた。
樹林越しに、東は残雪の白倉山、西は芽吹き前の田代山であろう。私はそのいずれにも未だ登っていなかった。風もなくポカポカ陽気の中、私一人が向山に登っている。何とも嬉しい一時である。
鞍部より西は、一気に男鹿川へと落ち込んでいるが、ゆっくりと下れば何とかなりそうな斜面であった。帰路はここを適当に下ってみることにしよう。
私はここ向山を藪の山と想像していたが、来てみれば藪は全くなく、まるで拍子抜けだ。
東に一際高く、白く輝くピークが見えてきた。それは奥塩原の日留賀岳であった。西に白く輝くピーク、これは荒海山であるが、樹林越しであったのでカメラを向けるには今一つであった。どちらも残雪姿の素晴らしい山であった。
9時50分、向山の頂きに到着した。登り出して、1時間20分は順調なタイムである。狭いピークには山名を記した古く白い杭が立てられ、肩に三角点標石が埋められていた。ここよりは日留賀岳以外に、望見出来るのは、東の白倉山と、南の三依山、そして今まで登って来た稜線だけであった。
思ったよりも、あっさりと山頂に立てたのは、ラッキーだった。体力的にも未だ余力が残っている様に思え、時間的余裕もあったので、次に西に隣接する田代山を登って行くことにして、男鹿川への斜面を一気に下った。
上三依駅北の跨線橋を渡り、林道の肩に駐車して田代山を目指した。ここの尾根にも踏み跡が続き、時々赤いテープも木に巻かれていた。
稜線が近くなり、気が付けば足元には可憐な淡いピンク色の花がいっぱい咲いていた。イワウチワだった。私にとっては、今年初めて出会った山の花だ。やはりここの春の訪れは例年以上に早いのだ。宇都宮でも桜の開花は2週間以上早く、3月中には満開となって皆を驚かせていたのだから、山の中も同じであった。
残雪は次々に消えて、藪が頭を持ち上げてくる。ここは藪がないから未だいいが、これから登ろうと計画している藪山は、益々手強くなってしまうだろう。何か自分の尻がたたかれている気がしてならなかった。
稜線に僅かに残雪があっただけ、左折して20m程進むと、三角点の標石が顔を出していた。しかし山名板はどこにも見あたらなかったが、田代山の頂に間違いない。
西に男鹿川に沿い、国道が走り、野岩鉄道も平行して走っていた。
対峙しているのは白倉山、その南には先週登った三依山が望めた。あの時はガスで何も見えず残念であったが、今はその全容を見せていた。
静かに時は流れて行った。今日は県北の余り名も知れない、二つの頂きに立つことが出来て満足だった。
帰路は同じ道を戻った。そして帰路の楽しみ、これはやはり温泉が一番だった。