74.どうにか残雪が残っていた・燕巣山  2222m


期間:2003・5・10  天候:晴れ  単独行  地図:三平峠.丸沼
コースタイム:丸沼温泉P8:40−湯沢峠付近稜線10:15−2045mピーク11:00−
       2083mピーク11:25−燕巣山12:25-12:55−四郎峠13:40―四郎沢
       14:00―丸沼温泉P14:45


山行記録:日光白根山や尾瀬燧ケ岳、黒岩山等から望見し、日光と尾瀬の中間に位置している四郎岳と燕巣山はワンセットの様に見える。この燕巣山は残雪期登山を逃してしまうと、背丈を越す笹が前進を阻み、コースタイムはこれに左右されて、1時間も違って厳しい山行となってしまう。
5月の連休を利用してこれに登ろうと計画したものの、開通したばかりの金精道路を、雪崩が直撃してしまった。その為、通行止めが続き、やっと再開したのは5月5日だった。私は早速10日(土)にこの燕巣山を目指し、宇都宮を6時出発した。丸沼では釣り糸を垂れる人が大勢いて、駐車場は釣り人の車、30台程が停められていた。
丸沼の北には四郎岳、そしてその右奥に目指す燕巣山が残雪を留めた姿を聳えさせていた。時間的には四郎峠経由、燕巣山の方が早く登頂出来そうに思えたが、私はやはり栃木の山に登ったという思いが強まる、栃木と群馬の県境を辿れる湯沢峠経由を計画していた。
8時40分スタートした。周囲には残雪が多く残っていて、登山道は湯沢を見下ろしつつ登り進んでいった。
無雪期には湯沢峠まで1時間とのことであるが、道はやがて残雪に覆い尽くされ、雪の斜面をトラバース気味に進む。油断すると、50mも下の湯沢まで滑落して、命の保証はない。慎重にキックを利かせ、ピッケルを突き立てつつ、ゆっくりと登り進んだ。
やがて今まで見えていた赤布や赤テープは見えなくなった。私は雪崩の危険は少ないと判断して、湯沢の源流部でもある、谷筋の雪渓を登って行った。
前方には明るい空が見え出し、峠が近づいて来た。残雪が少なくなると、今度は私の背丈を越す2m以上の根曲がり竹が前方を塞いだ。竹を掻き分け、これを掴み、体を上へ上へと持ち上げる腕力登山になった。しかし笹は下方へ倒れていて、非常に手強いものであった。
やっと稜線に飛び出した。ここは湯沢峠よりもやや北に位置する小ピークであった。時に10時15分、歩き出して既に1時間半が経過していた。
ここより燕巣山頂まで、最悪でも3時間。何とか今日の登頂は出来そうであった。稜線には今まで以上に残雪がありそうにみえる。無雪期登山、3時間の記録よりも少しは早く頂に立てるであろう。
しかし、まだまだ残雪のない稜線もあり、笹が立ち上がり前進を邪魔していた。
少しづつ前進して行くと、やがて雪が笹を覆い尽くして来て、2045mピークに11時到着した。ここより西へと進路が変わった。
稜線には残雪が続き、次の2083mピークへは、わずか25分で到達出来た。
前方には燕巣山がそのピークを一気に空へと絞り込んでいた。北には懐かしい鬼怒沼が間近く、この沼より物見山を経由して県境の稜線が燕巣山へと延びている。この稜線をこの地点より見ると、ほぼ一直線に重なってしまう。簡単に日帰りできそうな近さに見えた。
やせた稜線が傾斜を強める地点では、私は雪のない稜線の中央を歩き進んだが、この辺の藪は膝下までしかない。今までの藪とは比べられない程、順調に前進出来た。
高度差約100mを一気に登り詰めると、そこだけ雪が消えている燕巣山の山頂2222mだった。シラベの大木には山名板が三つも取り付けられていた。時に12時25分、予定よりも早く、4時間弱で山頂に立つことが出来た。
ザックよりパンとラーメンを取り出して、昼食を取った。雪の消えた山頂部はきれいに笹が刈り払われて快適に腰を降ろせた。目の前には日光白根山が大きく聳え、西は四郎岳を望め、こちら側からはきれいに笹が刈り払われた登山道が登ってきていた。
30分後、山頂を後にした。予定では同じコースを辿って下り、湯沢峠経由丸沼であったが、いつか四郎岳に登ろうと思っていたので、この際きれいに刈り払われた四郎峠側へ下ることに変更した。多少四郎沢の下りが不安はあったが、赤布も多いので大丈夫だろうと思えたし、尾根には全く雪が消え危険は少ないだろうと思えた。
四郎峠を目指し、一気に下って、45分で峠に到着した。ここより見上げる四郎岳は一直線に登り進むので、とても1時間では登れそうな気がしなかった。
峠より向きを南に変えて下った。20分後、四郎沢の源流に降り立った。ここからは何度も飛び石での渡渉を繰り返しつつ高度を下げて行った。途中滑り易い滑床や残雪トラバース等危険を感じる地点もあった。やはり一般登山道よりも沢登りの感じのするコースではあったが、どうにもならない悪道ではなかった。
14時45分無事丸沼湖畔に戻れた。登り3時間45分、下り1時間50分充実した山行で、とても幸せな気持ちであった。