77.帰りはどっさりワラビのみやげ・小法師岳  1593.1m


期間:2003.6.7   天候:曇り  単独行  地図:袈裟丸山・足尾
コースタイム:ゲート8:50−第二ゲート9:30−尾根取り付き10:00−1280mピーク
       10:45-10:55―1600mピーク11:45-11:50−1680mピーク12:15−
       1600mピーク12:40-12:45−小法師岳12:55-13:10―ゲート15:00


山行記録:足尾の西、県境尾根の二子山や小丸山から北を望むと、餅ヶ瀬川の谷越えにピークを持ち上げている山、それが小法師岳であるが、余り目立つ存在ではない。しかし南面に気持ち良さそうな笹の斜面を見せているので、見分ける事は簡単であろう。
餅ヶ瀬集落を過ぎて、200m程で林道は閉鎖されていた。国道から4km程入った地点で、ここには渓流釣りの先客車が4台も駐車していた。
8時50分歩き出した。私の体は未だ先週登った、寒沢宿経由、太郎山クリーンハイクの疲れが残っているらしく、今一つ体が重かった。
今日は曇天の下、視界は1kmさえもなく、どこが小法師岳なのかも知らない私には、どこを登山の取り付き点にすべきかの判断も出来ず、ちょっぴり不安だった。
林道を進むと、右岸に渡った後、左岸に戻り、さらに先へ歩き進んだ。左岸の岩壁が大きく崩落し、林道は完全に車の通行をストップさせていた。
やがて右手に無人雨量計が設置してあり、ここまで電線が通じていた。
これより先の林道は、いつ迄使用していたのだろうかも判らない、古い林道だった。もっと現在地を確認したく、そのまま歩き進んで行く。やがてつづら折りに高度をあげる崩落している道形が確認出来た。ここで現在地を確認出来た。やはり登山予定の尾根取り付きを通り過ぎていたのだ。
再び無人雨量計迄戻って、尾根取り付きの確認をしたが、ここは鹿の踏み跡だけ。さらに上流へ尾根取り付き点を確認しつつ歩き進んだ。支流を橋で渡った先にある踏み跡を辿って尾根に取り付いた。これはどうやら鹿の踏み跡のように思えたが、私はとにかく尾根を目指した。笹は鹿に食べられ、背丈はなかった。さらに木の皮を全て食べられ、立ち枯れが確定的な丸裸状態の悲しい大木があり、その根元には鹿の角が片方だけ落ちていた。
やがて小ピークに到達した。どうやら1280mピークの様だ。腹が減ったのでここで、早めにおにぎりを食べた。
左右が切れ落ち、沢の向こうの尾根は左右とも北へと伸びていた。尾根は鹿達の通り道なのかしっかりした踏み跡がずっと続いていた。やがて尾根は広い笹原に変化して来た。周囲はカラマツの植林帯で、樹齢30年以上の太さだった。その広い尾根の中央には小さな湿地があり、コバイケイソウの群生地となって太い芽は20cmも伸びていた。
私は真北のピークを目指して登り進んだ。尾根形は無くなり、勾配は角度を強めて来た。これに耐えて、11時45分稜線の狭いピークに到着した。東側はガスに包まれて何も見えなかったが、西にここよりも高いピークが見えた。
小法師岳は東の様に思えたが、どうしても西の高いピークが気になった。後で悔いるよりも、30分もあれば登れそうなので、先ず登って確認をしてみようと思った。今は未だ時間的な余裕もあったので、稜線の踏み跡を辿って西へ向かった。
稜線の北側は藪がほとんどなく、順調に歩き続けピークの肩に辿り着いた。ここには古い赤テープが木に巻かれ、ピークはもっと西になっていた。一面の笹原となっていて、この広い笹原を掻き分けつつ泳ぐ様に進み、12時15分到達した。木に標識らしい板が括られているのが見えた。これを確認すると、矢印で(西)県境尾根(東)小法師岳と記されていた。地図で再確認したが、ここが1680mピークで、先程のピークが1600mピークであった。やはり稜線では右折して、次のピークが小法師岳だったのだ。ガスの中で確認を怠った私の判断ミスだ、もっと地図を確認すれば良かったのだが、これも未熟な私ゆえやむない事だ。
方向の誤り易い笹原を注意しつつ下り、先程の1600mピークに戻り、そのまま東へと進んだ。小法師岳は少し下って登り返えした。
紅白の測量用ポールがあったので、付近の小笹の中を捜したが、三角点も山名板も見当たらない。地図ではもっと東に記入されていたので、100m程歩いてみた。
折れたポールが目に入った。そこには三角点標石が埋められ、木には小法師岳の山名板が2枚吊るしてあった。時に12時55分、やっと山頂に到着したのだった。
ガスが周囲を閉ざしていた。北方が開けていたから、晴れてれば谷越えに庚申山、鋸山から皇海山や日光の山並みの展望が得られるだろうに残念だった。
ザックよりカメラを取り出し、記念のシャッターを押した。北方以外はカラマツとダケカンバが山頂を囲んでいる、静かな山頂だった。
深山の趣の頂は静寂の中だったが、15分後、帰路に着いた。
下山は山頂部よりほぼ真南に、餅ヶ瀬川へと伸びている尾根を下った。ここからは晴れていれば二子山や袈裟丸山も望める、快適な笹の尾根下りであるが、今は展望は得られない。
足元には緑のワラビの葉が広がっていた。良く見ると、次々と若芽が伸びていた。少しこれを採りながら下った。採り始めると、次々と美味しそうなワラビが目に入って来る。
ザックよりビニール袋を取り出し、さらにワラビを採った。たちまちビニール袋2つも採れ、まだまだワラビはあった。しかし、もういいだろうと採るのをやめて、これをザックに入れた。これは山の神様から、はるばるやって来た私への嬉しい贈り物であろう。心も軽く笹原の尾根を下り続け、1420mの尾根のコブで一息を入れ、ポカリを一口飲んだ
後は出来るだけ緩やかな尾根の方向を選びながら下り続け、向きもやや東へそれて下って行く。徐々に沢音が大きくなって来ると、目の前に昔の作業道が現れた。これを利用して沢へ降り、沢を下って行くと、直ぐに10m弱の滝の上になってしまった。
ここは左岸へ渡り、斜面をトラバースして行くと、作業道は上に見えた。これをさらに辿って歩き進む。小沢には丸木橋が掛けられ、さらに下ると、ポンと林道に飛び出した。
餅ヶ瀬林道には直ぐに合流し、車に15時到着、下り1時間50分は順調な下りだった。